加茂総桐箪笥店とは
伝統的工芸品と認められた加茂総桐箪笥を解説
加茂桐箪笥は1976年に経済産業大臣によって日本固有の伝統的工芸品としての認定を受け、一般財団法人 伝統的工芸品産業振興協会に登録されました。
江戸時代中期、天明の頃加茂の大工が製作したことが、加茂桐箪笥の始まりと伝えられています。 箪笥の裏板に「文化11年(1814年)購入」と記された箪笥が現在でも市内で使用されています。
昭和の初め頃、夜叉の実から抽出された染料「夜叉塗り」が開発されたことによって、現在の加茂桐箪笥の意匠が完成いたしました。
現在、加茂桐箪笥は全国シェアの約70%を生産し、日本全国に、最近では欧米諸国にも出荷しています。
加茂総桐箪笥の特徴
日本の気候風土で生育した国産桐は艷やかで美しい乳白色であり、上質な絹の様な滑らかさに例えられます。
桐箪笥に使われる柾目(まさめ)は、淡い地色に濃い茶褐色の細かく規則的な線は櫛で引いたようで、 他木材で組まれた家具に見られない杢目の美しさがあります。最も特徴的な箪笥の引き出しは隙間が殆ど無いのに開閉がスムーズで、湿気や熱から貴重なお着物を守り、長期の保存・保護を可能とします。
原木は製材の後、アク抜きを行い、入念な自然乾燥を3年間手塩にかけて初めて加工に適する材料になります。組み上げの工程では板組、カンナ掛け、ホゾ組、組立、色付塗装、金具取付の至まで全て手仕事です。
ノミ、カンナなどの手工具を用いて作る職人の熟練の業は日本の伝統文化の粋といえるものです。
伝統の技術・技法
1)乾燥は、自然乾燥によること。
2)使用する板材は、無垢板とすること。この場合において、板材の厚さは、天板、側板、たな板及び束板にあっては19ミリメートル以上とし、地板、裏板及び引出しの底板にあっては7ミリメートル以上とすること。
3)側板に対する天板及び地板の接合は、前留めとし、5枚組以上の組み接ぎ木くぎ打ち又は11枚組以上のあり組み接ぎにより、たな板の接合は、端止め小孔ほぞ接ぎ、かぶせ面小孔ほぞ接ぎ又は剣留め小孔ほぞ接ぎによること。
4)引出しの部材の接合は、包み打付け接ぎ、組み接ぎ、あり組み接ぎ又は包みあり組み接ぎによること。
5)とびら又は引戸を付ける場合には、次の技術又は技法によること。
a.板物にあっては板材の厚さは、19ミリメートル以上とし、部材の接合は、端つぼめ又は留形本ざねほぞ端ばめ接ぎによること。
b.枠物にあっては板材の厚さは、枠の部材にあっては19ミリメートル以上、鏡板にあっては7ミリメートル以上とし、部材の接合は、留形やといざね接ぎによること。
6)側板と足との接合には、「縫いくぎ」を用いること。
7)仕上げは、「うづくり」を用いる「みがき」及び「夜叉塗装」をした後「ろうみがき」をすること。
原材料
1)木地は、桐とすること。
2)くぎは、ウツギ製又はこれと同等の材質を有するものとすること。
3)金具は、銅、銅合金又は鉄製とすること。